H Residence
House
『風景としての庭を介して自然を愉しむくらし』
湘南の海岸線から自転車で5分程の立地に計画した夫婦と子供のための住まい。
マリーンスポーツをくらしのルーティンとするご家族の要望は、庭を主体とした自然が身近に感じられ、天然素材でつくる和モダンなインテリアの実現だった。
庭と豊かな関係性を作り出し、意識が外部に広がるような開放的な住まいの実現を目指した。
ー 周辺環境とのスキマをつくる配置計画 ー
都心と変わらず周囲を建物が囲む環境の中、建物を雁行させる事で生まれる余白を活かし大小様々な庭や駐車場を分散して配置し、バッファゾーンで室内環境を包むような配置計画としている。
周囲と視線が交錯しないように位置やデザインに配慮した窓をバッファゾーンと紐付けることで効果的な抜けを獲得している。
風景が見えることだけに拘らず陰影を感じる窓など、その先の気配を感じることで奥行きを作り出し、外部に意識が拡張することを期待した。
ー 庭と触れるキッカケをつくる ー
幾多かの要望を踏まえて現実的に獲得できる庭の大きさを検討すると、子供たちが庭遊びするには手狭で坪庭としては広いくらいの大きさになることが想定された。
掃き出し窓で庭と一体になるような関係性をつくるのではなく、近景や遠景など程良い距離感で庭を風景として楽しみ寄り添うような関係性をつくることがクライアントのライフスタイルと馴染みが良さそうに感じた。
出窓/段差/小上がりなど凹凸を積極的に設け、柔らかい床材も相まって座ることへの敷居を低くすることで多様な居場所が自然に生まれることを意図した設計となっている。
ー 木造ならではの躯体の魅力を活かして空気感をつくる ー
躯体を現しにするメリット/デメリットをクライアントと共有した上で、木造の躯体が持つ塊としての素材の魅力を活かしたデザインとしている。
綺麗過ぎずラフ過ぎないバランスを見極めながら躯体を顕わにし、什器を通して新たな素材を添えて空間の質を高めていった。
- クライアント|個人
- 所在地|神奈川県藤沢市
- 主要用途|戸建住宅
- 専有面積|131.75㎡
- 写真|志摩 大輔