R Hotel

『縁側のある客室がつくる日本らしさ』

企業の社宅として利用されていた建物をリノベーションし、インバウンド向けの長期滞在型ホテルへコンバージョンする計画。コンパクトな日本らしさを感じる客室でのくらしを通して、長期滞在でのやすらぎの場として心の拠り所となることを期待した。

『旅先での所作をつくる』

１部屋あたりが非常にコンパクトだったことから、テーブルやソファなど要素を充実させることで手狭感が出てしまうことを懸念した。そこで水回りをコンパクトに抑え、残った空間を『くつろぐ空間』と『寝る空間』とに透過性のある建具で2部屋に分けた。全開放して大きな空間にしたり、部分的に閉めてコンパクトな部屋にしたりと気分に応じて使い分けることで部屋の印象を変えてゆく。こうした所作を通してこの客室や日本でのくらしに馴染んでもらい、旅先での時間をより充実感を持って過ごしてもらえることに期待した。

『日本らしい奥行きをつくる』

『くつろぐ空間』を土間に見立て縁側を設え、座面はあえて低く設定して天井までゆとりを持たせている。ブラスト加工したミラーやラタン張りの建具、既存床を研ぎ出しツヤと砕石の断面を露わにした床面など、素材の魅力である反射/透過を通して独特の奥行き感を作り出している。コンパクトな空間ながら室内を動き回ることで刻々と変化する空間の奥行き感をを堪能してもらうことを期待した。